アンデルセン公園は大変 広い敷地を誇っています。また船橋の中心部から奥まった田舎の方で、普段は人通りが少ないところにあります。休日になると車が列をなしますが。
奥地にありますから、広い公園の周りには奥地にふさわしいとされる施設が散在している印象が私にはあります。例えば私がよくお世話になった病院も、その一つかもしれません。
今私には、あの病院の大きな 体育館の片隅に置かれたピアノのことが頭に浮かんでいます。
その周りで声を限りに歌われたLet It Be。
自然に集まり、ともに歌い上げた私を含めた十数人の若い患者の影。
その誰にも語ることのできない思いを必死で訴えるようなやるせない表情が頭の中から離れないのです。
ピアノを叩いたのは独学でピアニストになろうとした40代の寡夫男。楽譜を読むのもうまくなかったけれど、Let It Be のジャズバージョンだけは圧倒的でした。
ピアノの音を聞いて最初に駆け寄ったのは病院から20m も出ることができなくなっていた俳優志望だった人。
鉄格子の部屋に1ヶ月近く入れられて「一体私が何をした」と叫んだ元OL。
普段 一言も喋らない人もLet It Be の歌詞は知っていました。
もう その一人一人の顔も覚えてはいませんが、普段そっぽを向いていた患者も唯一心を合わせたのが あの不思議な1回限りの Let It Beだったのでした。
長い間、窒息するような闇にいた思いの中でそこだけ輝くように息を吹き返した瞬間でした。
Let It Be。。あるがままに。
社会からは受け入れ難くなってしまった患者たちですが、それでもなお自分を生きたい思いは捨てられないのです。
なんか このところずーっと 思い出していて頭から離れがたいので書いてみました。