花とウォーキングシューズ

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『ニューヨーク・スケッチブック』

 

どなたかが年末に紹介されていた『ニューヨーク・スケッチブック』。

いつか読みたいと思っていた本です。

ちょっとブログ更新おくたびれ気味なので読んでます。

一編一編、とても短いのですが、濃密に心に迫ってきます。

どうも好き嫌いが激しくて、物の感じ方とか文体に抵抗がある小説は、最初の方を読んだだけで投げ出してしまうのですが、これはゆっくり味わうことが出来そう。

だいたい表紙の写真が良いじゃないですか。

ひび割れた階段や壁の古いアパートの冷たい踊り場で、美しく着飾ればはっとするようにもなるだろう金髪の女性が、安手の服を着て、独り本なんか読んでます。

孤独の似合う街ニューヨークなんでしょうね。

ちょっと体のラインも崩れてきてしまっている女性の、都会での必死の生活。

自分の弱さと強さが交互に問われる日常にあって、本を読んで、誰かの心の息吹を感じずにいはいられないという所でしょうか。

東京でもそうだけど、都会に住んでいる人の表情はいずれ個性がむき出しになっていくような気がします。

私の住んでいる平凡な住宅地に住む人間とは違う。

どの場を選ぶか。何を見て、何を聞くか、何を着るか、選択の余地がある。

それが幸せかどうかはわからないけれど、キャラは確実に刻まれていくような感じがします。

格好いいんですよ。見てる分にはね。

 

小説は、私は、男の人の書くものは、辛口ならば、比較的そんなものかと読むことが出来る気がしますが、甘口の小説はどうも、緩すぎるような気がして、投げ出すことが多いです。

ですが、この小説は良いバランス。

少し甘くて、少し厳しく、良いお酒のような深い味わいがあります。

何しろ、短いので労力をかけずにたっぷり楽しめますね。

それに多分節度があるのが良いんだと思う。

 

村上春樹も良いんだろうけど、長すぎるよ!短いのはいまいち味わいが軽い気がするし、肌に合わないんだなあ。